トウシューズが痛い|足が細い私が発表会レッスンで激痛と戦った話【大人バレエ体験談】

発表会・体験談

前回の記事、トウシューズへの憧れを、夢で終わらせたくなかった——40代から始めた大人バレエと、新しい先生との出会い

「トウシューズを履いて舞台に立つ」

その夢を叶えた発表会のレッスン期間中、私はずっと痛みと戦っていました。鎮痛剤を飲んでも効かない。テーピングをしても追いつかない。それでも「足が痛いからできません」とは言えない。激痛をこらえながらバーにつかまり、センターに出て踊る——そんな日々が続きました。夢を叶えるはずの時間が、こんなにも苦しいものだとは思っていませんでした。
この記事では、発表会のレッスン中に私を苦しめたトウシューズの激痛について、正直にお伝えします。同じ痛みで悩んでいる方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

【この記事でわかること】
・発表会レッスンで痛みが激しくなる理由(履く時間の激増と足の幅)
・鎮痛剤(ロキソニン)が効かなかった理由
・足に合うシューズにたどり着くまでの試行錯誤

発表会のレッスンが始まった頃から、痛みが出始めた

普段のレッスンでトウシューズを履く時間は、30分ほどです。バーレッスンでは、プリエとルルベが中心になります。しゃがみこまずに体を引き上げたまま、しっかりとトウシューズの先に立ち、正しく床を押す感覚を養います。タンデュやデガジェでは、床を通ってポアントを美しく伸ばす練習をしながら、足首とふくらはぎの筋力を鍛えていきます。センターレッスンに移ると、シュスとエシャッペが加わります。バーから手を離して両足でぴったりと立つシュス、足を開いて閉じるエシャッペ——ポアントの基本のパ(ステップ)を一つひとつ丁寧に学びます。慣れてくると、パ・ド・ブレやピルエットへと発展し、連続したステップでの移動や、つま先立ちでの回転技にも挑戦するようになります。普段の30分なら、なんとかこなせていました。足への負担を感じながらも、「これがトウシューズというものだ」と思いながら続けていました。ところが、発表会のレッスンが始まった途端、状況が一変しました。

トウシューズが合っていなかったのか、それとも——

発表会のレッスンになると、トウシューズを履く時間が一気に伸びます。2時間、3時間——普段の6倍以上の時間をトウシューズで踊り続けることになるのです。レッスン開始から15分ほどは、まだ大丈夫でした。体が温まっていて、足も動く。「今日は調子がいいかも」と思う瞬間さえありました。
でも、時間が経つにつれて、痛みが出始めました。
最初はじんわりとした違和感。それがいつの間にか、はっきりとした痛みに変わっていく。足の指の付け根が痛い。小指の外側が擦れる。つま先に体重を乗せるたびに、ズキリとした感覚が走る。原因は、後になってわかりました。
私は足が細いのです。一般に販売されているトウシューズは、ある程度の足の幅を想定して作られています。足が細い私には、どのシューズを選んでも微妙に合わない。シューズの中で足が滑り落ちるような感覚があり、気づくと足の指が曲がった状態でシューズの中に収まっていたのです。
本来、トウシューズはつま先でまっすぐ立つための道具です。でも足がシューズの中で正しい位置に収まっていなければ、どれだけ頑張っても正しいポジションで立てない。そして足への負担は、何倍にもなっていました。発表会のレッスンの長時間、その状態で踊り続けていたのです。

ロキソニンを飲んでもまったく効かなかった

痛みがひどくなってきた頃、先輩方がさりげなく教えてくれました。「発表会のレッスンは、みんな痛みをこらえながら踊っているのよ」そう言いながら、バッグからロキソニンを取り出して飲んでいる先輩の姿を見ました。鎮痛剤を飲みながら踊る——それが発表会レッスンの「普通」なのだと、そのとき初めて知りました。私もロキソニンを飲んでみました。レッスンの1時間前に飲んで、万全の準備で臨みました。
まったく効きませんでした。正確に言えば、飲んでいない日と比べて、ほとんど変わらなかったのです。レッスン開始から30分もすれば、いつもと同じように痛みが出てくる。鎮痛剤が効いている感覚がない。体の中で何かが限界を超え始めているような、鈍くて重い痛みでした。
後から思えば、それは当然だったかもしれません。足が正しく収まっていないシューズを履いて、何時間も踊り続けている。その状態で生じる痛みは、炎症や筋肉疲労だけではなく、構造的な問題から来ていたのです。鎮痛剤でごまかせるような種類の痛みではありませんでした。
それでも飲み続けました。飲まないよりはましかもしれない、という気持ちで。

それでもレッスンを休まなかった理由

「足が痛いから今日は休みます」
そう言えたら、どれだけ楽だったでしょう。でも、言えませんでした。一つは、夢への執着です。憧れていたトウシューズ。憧れていた舞台。40歳を過ぎてから始めたバレエで、ここまでたどり着けた。その発表会のレッスンを、痛いからという理由で休むことが、どうしてもできませんでした。「ここで休んだら、舞台に立つ資格がない」とさえ思っていました。
もう一つは、先生の一言です。
あるレッスンの日、痛みで顔がこわばっていたのを見ていたのでしょう。先生がこう言いました。「足が痛いからできません、なんて通用しませんよ」
何も言い返せませんでした。厳しい言葉に聞こえるかもしれません。でも先生は、私たちのことを本気で舞台に立たせようとしていたからこそ、そう言ったのだと今は思います。発表会の本番は、足が痛くても幕は上がります。舞台の上に「休憩」はない。だからこそ、レッスンのうちから「痛みとともに踊る」ことを体に覚えさせる必要があったのです。それでも、先生に言われた通りに踊れない自分へのもどかしさは消えませんでした。痛みをこらえながら踊ると、どうしても動きが小さくなる。引き上げが甘くなる。表情が硬くなる。先生の指導通りに体を動かしたくても、痛みがそれを邪魔する。その葛藤が、レッスンのたびに積み重なっていきました。
そのときの私には、解決策は見つけられませんでした。

痛みをごまかしながら踊るということ

痛みをこらえながら踊るとき、体の中で何が起きているのかを考えたことがあります。本来、痛みは体からのサインです。「ここに問題がある」「これ以上やると危険だ」という警告を、体が発しているのです。その警告を鎮痛剤で抑え込み、気合いでごまかしながら踊り続けることは、体への負担をさらに積み重ねることでもあります。
わかっていました。それでも止まれなかった。
発表会のレッスンは、日程が決まっています。本番まで何週間、何回と限られた練習の機会を、痛みで休むことへの罪悪感がありました。「私が休んだら迷惑をかける」「ここで休んだら間に合わない」——そんな気持ちが、体のサインを無視させていました。今振り返ると、あのとき誰かに相談できていれば良かったと思います。先生に、先輩に、あるいは整形外科の先生に。「このくらいの痛みなら続けて大丈夫か」を確認するだけでも、違う選択ができたかもしれません。
痛みをごまかしながら踊ることは、短期的には舞台に立てるかもしれない。でも長期的には、体に取り返しのつかないダメージを与えることがあります。大人バレエを長く続けていきたいなら、痛みのサインを軽く見ないことが、何より大切です。

トウシューズの痛みで悩む方へ伝えたいこと

発表会が終わり、2回目、3回目と経験を重ねていく中で、少しずつわかってきたことがあります。トウパットをいろいろ試しました。シリコン製のもの、ジェル素材のもの、綿のもの。足の指をテーピングで固定することも試しました。親指だけ、小指だけ、全部の指——何度も試行錯誤しました。でも既製品のシューズに足を合わせることには、やはり限界がありました。転機が訪れたのは、3回目の発表会(=バレエを始めてから約6年後)が終わった後のことでした。ロシアのブランド「グリシコ」の、幅の狭いトウシューズに出会ったのです。幅が細く作られているそのシューズを試したとき、足がシューズの中にしっかりと収まる感覚がありました。滑り落ちない。ずれない。指が正しい位置に収まっている。オーダーして手元に届いたとき、最初に履いた瞬間の感覚を今でも覚えています。「これだ」と思いました。痛みがゼロになったわけではありませんが、あの発表会レッスン中に感じていた激痛とは、明らかに違いました。
3回の発表会を経て、ようやくたどり着いた答えでした。
ロシアのブランド「グリシコ」の2007というモデルの、幅が細いタイプに出会いました。価格は約9,800円。藤門商事株式会社に電話で注文し、手元に届くまで約3〜6ヶ月かかりました。実際に履いた瞬間、やっと私の足にフィットし足の指が曲がらない痛くないトウシューズに出会えました。トウシューズで悩んでいる方に、伝えたいことがあります。
まず、フィッティングは必ず行ってください。トウシューズは、バレエシューズ以上に足との相性が重要です。インターネットで購入するのではなく、専門店でフィッティングを受けてから選ぶことを強くおすすめします。そして、足の形は人によって全く違います。幅広の足、幅の細い足、指の長さの違い、甲の高さ——それぞれに合うブランドとモデルがあります。有名なブランドだから、先輩が使っているから、という理由だけで選ぶのではなく、自分の足に合うものを根気よく探してほしいのです。トウパットやテーピングも、痛みを和らげる有効な手段です。でもそれはあくまでも補助。土台となるシューズが足に合っていなければ、どんなに工夫を重ねても限界があります。私が3回の発表会で経験したのは、まさにその限界でした。

まとめ|激痛の正体は、次の記事で明らかに

発表会のレッスン中、私はずっと激痛と戦っていました。ロキソニンを飲んでも効かず、先生に「痛いからできません」とは言えない。足に合わないシューズの中で指は曲がり、それでも憧れの舞台のためにレッスンに通い続けました。3回の発表会を経て、ようやく自分の足に合う一足に出会えたとき、痛みと無理を重ねた時間も、自分の足を知るための大切な過程だったと思えました。合わないシューズで我慢を続ける前に、ぜひ一度フィッティングや専門家への相談を。あなたにも、ぴったり合う一足が見つかりますように。

 トウシューズのフィッティングで確認したい3つのポイント

私は6年間もの間、足に合わないシューズで踊り続ける苦しさを経験しました。同じ思いをしないために、専門店でフィッティングを受けるとき確認してほしいポイントをお伝えします。

(3つのポイント)
・つま先:指先がシューズの端に触れず、わずかな余裕があること
・かかと:浮いたり、ぱかぱかしたりせず、しっかり固定されていること
・幅:足の幅とシューズの幅が合っていること(合っていないと、私のように指が曲がった状態になります)

そして、あの激痛にはもっと深刻な原因がありました。発表会が終わった一週間後、整形外科のレントゲンで明らかになったその正体は、次の記事でお伝えします。

 

※この記事が、トウシューズの痛みで悩んでいる方や、これから発表会に挑戦する方の参考になれば嬉しいです。私のように我慢を続ける前に、ぜひ一度シューズのフィッティングや専門家への相談を検討してみてくださいね。

この記事を書いた人

40歳でバレエを未経験からスタートし、15年間レッスンを続けてきた会社員。通算7回の発表会に出演し、トウシューズで舞台に立つという夢を叶えました。スポーツ整形外科への通院経験も踏まえながら、バレエを続ける中で感じた体の悩みや向き合い方を発信しています。飾らないリアルな体験を通して、これからバレエを始める方や、レッスンを続けている方へ役立つ情報をお届けしています。

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