【40代から】大人バレエ発表会前のダイエット失敗談|お肉をやめて筋力が落ちた話

発表会・体験談

初めての発表会が決まったとき、私の頭の中は「嬉しい」よりも先に、ある考えでいっぱいになっていました。
「舞台に立つなら、少しでも痩せなきゃ」
それが、大失敗のはじまりでした。発表会まであと3ヶ月。トウシューズを履いて舞台に立てる夢が現実になろうとしているのに、私はその喜びよりも「見た目」を優先してしまったのです。バレエを始めてから数年間、ずっと夢見ていた舞台です。先生から「発表会に出てみませんか」と声をかけていただいたとき、心の底から嬉しかった。でも同時に、すぐに不安が押し寄せてきました。「こんな体型で本当に大丈夫なのだろうか」という、40代女性なら誰でも一度は抱く、あの感覚です。この記事では、私自身の失敗体験を通して、発表会前のダイエットで気づいた大切なことをお伝えします。
・発表会前のダイエットで、なぜ踊れない体になってしまったのか
・大人バレエにタンパク質が大切だと気づいた理由
・体型が気になる時期を、踊りを犠牲にせず乗り切る考え方

発表会前、どうしても痩せたかった理由

バレエの衣装は、体のラインが出ます。レオタードにチュチュ、タイツ。普段のレッスンでも体は丸見えですが、舞台の上ではスポットライトが当たります。客席から見られます。写真も動画も残ります。鏡の前でレオタード姿の自分を改めて見たとき、気になるところが次々と目についてしまいました。お腹のライン。太ももの内側。腕の丸み。いつものレッスンでは気にしないようにしていた部分が、「発表会」という言葉を意識したとたん、急に目につくようになってしまったのです。「先輩方みたいに、もう少しスリムだったら……」40歳を過ぎてから芽生えた、美しさへの憧れ。バレエを始めるまでは、正直そこまで体型を気にする性格ではありませんでした。仕事に家事に忙しく、自分の見た目に時間を使う余裕もあまりなかったのです。でも舞台に立つとなると、話は別でした。少しでも美しく見られたい。スリムな体型で舞台に立ちたい。そんな気持ちが自然と湧いてきました。「3ヶ月ある。今から取り組めば、少しは変われるかもしれない」発表会への期待と体型への焦りが入り混じった気持ちで、私はあるダイエット法を試すことにしました。
今振り返ると、それは単に痩せたいという気持ちではなかったのだと思います。バレエが私の中に眠っていた「美しくありたい」という思いを呼び覚ましてくれたからなのかもしれません。

ベジタリアンなら体が軽くなると思っていた

当時の私がたどり着いたのは、「お肉をやめる」という方法でした。ベジタリアン、という言葉に漠然としたイメージを持っていたのです。「体が軽くなる」「内側からきれいになる」「体重が落ちる」——根拠はありませんでした。でもなんとなく、お肉を食べないことが体に良さそうで、痩せられそうで、バレエにも合っている気がしていました。バレリーナといえばスリムで軽やかなイメージ。その勝手なイメージが、「ベジタリアンになればバレリーナ体型に近づけるかも」という、今思えば根拠のない思い込みにつながっていました。
実際に試してみると、最初の数週間は確かに体が軽く感じました。「効いているかも」と少し嬉しくなりました。食事の内容は、野菜中心のメニューに変わりました。サラダ、野菜炒め、豆腐、納豆。タンパク質といえば卵を少し食べる程度で、肉も魚もほとんど口にしませんでした。
「これで発表会までに体型が変わるかも」
そう期待しながら、毎日のレッスンに通い続けました。ところが1ヶ月が過ぎた頃から、少しずつ違和感を感じるようになりました。
体が重い。疲れやすい。レッスン中に集中力が続かない。バーレッスンの途中で息が上がることが増えました。以前はこなせていた動きが、なんとなくしんどく感じる。「疲れているだけかな」「仕事が忙しい時期だから」と、自分に言い聞かせていました。でもそれは、食事の変化が体に影響を与え始めているサインだったのです。
あとから知ったことですが、きちんと考えられた菜食メニューそのものが悪いわけではありません。今振り返ると、お肉をやめたこと自体が問題だったのではなく、不足するタンパク質を補うことをまったく考えていなかったことが問題でした。その結果、筋力の低下につながってしまったのだと思います。

レッスンで異変に気づいた|ジャンプが上がらない

本番まであと2週間というタイミングでした。
いつものようにバーレッスンをこなし、センターへ移動してジャンプの練習が始まったときのことです。先生から「もう少し引き上げて」と声がかかりました。
引き上げようとしました。でも、体がついてこない。
「あれ?」いつもなら自然にできていた動きが、重くて出てこない感じがするのです。ジャンプの高さがいつもより明らかに低い。着地のたびに体がどっしりと落ちる。バーを持ちながらルルベをしても、軸がいつもよりふらつく。つま先で立ったときの安定感がない。
「気のせいかもしれない」
そう思いながらレッスンを終えましたが、次の週も同じでした。むしろ少し悪くなっている気さえしました。先生の「引き上げて」という声が、いつもより多く飛んでくるようになりました。鏡を見ると、自分の姿勢がいつもより丸まって見える。体を支える力が、どこかに行ってしまったようでした。
本番2週間前に気づいた、明らかな異変。頭の中に、嫌な言葉が浮かびました。
「筋力が、落ちている?」
その瞬間、ベジタリアン生活を始めてからの食事内容が、走馬灯のように頭をよぎりました。お肉をやめて1ヶ月半。魚もほとんど食べていない。卵は少し。タンパク質を、ほとんど摂れていなかったのです。

踊る体に必要なのはタンパク質だった

バレエで使う筋肉は、思っている以上にたくさんあります。
体を引き上げる背中とお腹の筋肉。ターンアウトを支える股関節まわりの筋肉。つま先立ちを可能にするふくらはぎと足裏の筋肉。ジャンプの踏み切りと着地を支える太ももの筋肉。バランスを保つための体幹全体。腕を美しく保つための肩まわりの筋肉。
これらの筋肉を維持するためには、タンパク質が欠かせません。
筋肉はタンパク質を材料として作られ、維持されます。タンパク質が不足すると、筋肉の維持が難しくなることがあります。特に運動をしている人は、通常よりも多くのタンパク質を必要とします。バレエのレッスンで筋肉を使えば使うほど、修復と維持のためにタンパク質が必要になるのです。私はそのことを知らずに、お肉を抜けば痩せると思い込んでいました。
結果として体重は少し減ったかもしれませんが、発表会で本当に必要だった「踊るための力」まで失ってしまったのです。
当たり前のことです。でも私は、そのことをそのときまで本当の意味でわかっていませんでした。
「野菜中心の食事で体が軽くなる」という思い込みが、体を動かすために必要な栄養を十分に摂れていない状態を招いていたのです。体重が少し落ちていたとしても、それは脂肪ではなく筋肉が落ちていたかもしれない。体が軽く感じたのは、筋力が低下していたせいで体を持ち上げる力が弱くなっていたからかもしれない。
そう気づいたとき、背筋が冷たくなりました。
慌ててお肉を食事に戻しました。魚も、卵も、積極的に食べるようにしました。でも筋肉は、そう簡単に戻るものではありません。1ヶ月半かけて落ちた筋力が、残り2週間で取り戻せるはずがなかったのです。毎日のレッスンでタンパク質を意識しながら必死に動きましたが、体の感覚は発表会当日まで戻りませんでした。

ダイエットより「踊れる体」を優先する理由

発表会当日、私は筋力が落ちたままの体で舞台に立ちました。引き上げが足りない。ジャンプが低い。軸がふらつく。自分でわかっていました。「もっとできるはずなのに」という思いを抱えながら、それでも踊り切りました。照明を浴びて、音楽に乗って、精一杯踊りました。でも胸の中には、ずっと後悔がありました。舞台を終えて更衣室に戻ったとき、鏡の中の自分を見ました。少しスリムになった体。でも、踊りは思い描いていたものとはかけ離れていました。
そのとき、はっきりと思いました。
「痩せて見えることより、踊れる体でいることの方が、ずっと大切だった」バレエは筋力でできています。それは言い過ぎではありません。プリエもルルベもアラベスクも、すべて筋肉が支えています。体を引き上げる力、軸を保つ力、音楽に乗って動く力——どれも筋肉なしには成り立たない。
スリムに見えても踊れない体より、多少ふくよかでも力強く踊れる体の方が、舞台の上では圧倒的に美しい。先輩方の踊りを見ていれば、わかっていたはずのことでした。レッスンを重ねるたびに感じていた「あの人はなんてしなやかで力強いんだろう」という感動は、体型ではなく筋力から生まれていたのです。
ダイエットを否定しているわけではありません。健康的な体型を目指すことは大切なことです。でも、踊りながら体型を変えようとするなら、筋肉を落とさない方法を選ぶことが絶対条件です。極端な食事制限ではなく、運動量に見合ったバランスの良い食事を続けながら、時間をかけて体を変えていく。それが、踊り続けながら美しくなる唯一の道だと今は思っています。
特に発表会の直前は、食事を極端に変えることは避けるべきでした。気づいたときには、もう手遅れでした。
発表会が終わった後、同じクラスの先輩に打ち明けました。「実は発表会前にお肉をやめていたんです」と。先輩は少し驚いた顔をして、こうおっしゃいました。「私も最初の発表会のとき、同じようなことをしたよ。みんな一度はやるんじゃないかな」
その言葉に、少し救われました。同時に、もっと早く誰かに話していればよかったと思いました。レッスン仲間や先生に相談していれば、間違いに気づくのも早かったかもしれません。
発表会前の不安は、一人で抱え込まないことも大切です。体のことも、食事のことも、信頼できる人に話してみることで、思わぬ助けをもらえることがあります。

知っておきたい|体重と体型は別物

もう一つ、発表会前に私が気づけなかったことがあります。それは「体重と体型は別物」だということです。
筋肉は脂肪より重いため、バレエを続けているうちに体重が増えることもあります。でも体のラインは引き締まり、姿勢が美しくなる。体重計の数字だけを見ていると、その変化を見逃してしまいます。鏡の前でレオタード姿の自分を見るときは、体重ではなく「体の使い方」を見てほしい。引き上がっているか。背筋が伸びているか。肩が開いているか。バレエが教えてくれる美しさは、数字ではなく動きの中にあります。当時の私は体重計の数字ばかり見ていました。でも今振り返ると、本当に見るべきだったのは鏡の中の姿でした。数字が変わらなくても姿勢が変わる。背中が伸びる。立ち姿が美しくなる。バレエの魅力は、体重計では測れないところにあるのだと思います。

前の食事で後悔しないために

発表会前に「少しでも痩せたい」と思う気持ちは、自然なことです。舞台に立つなら、美しく見せたい。その気持ちはよくわかります。でも、私の失敗からお伝えできることがあるとすれば、これです。踊るための体を、食事で壊さないでください。特に気をつけてほしいのは、タンパク質の極端な制限です。発表会前だからこそ、主食・野菜・タンパク質をしっかり摂り、「踊れる体を維持すること」を最優先に考えてほしいのです。スリムに見えることよりも、舞台の上で自分らしく全力で踊れること。それが一番美しい姿だと、失敗を経験した私は今でも信じています。発表会は特別な時間です。その特別な時間を、食事の失敗で悔やむことなく迎えてほしい。そう願いながらこの記事を書きました。

※この記事は、40歳からバレエを始めて15年間通い続けた私自身の体験をもとに書いています。栄養に関する内容は専門家の見解ではなく、個人の経験に基づくものです。食事制限やダイエットについては、必要に応じて医師や栄養士にご相談ください。感じ方や変化には個人差がありますが、同じように発表会前に悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。

この記事を書いた人

40歳でバレエを未経験からスタートし、15年間レッスンを続けてきた会社員。通算7回の発表会に出演し、トウシューズで舞台に立つという夢を叶えました。スポーツ整形外科への通院経験も踏まえながら、バレエを続ける中で感じた体の悩みや向き合い方を発信しています。飾らないリアルな体験を通して、これからバレエを始める方や、レッスンを続けている方へ役立つ情報をお届けしています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました